リフォームで上質で心地よい空間を創り出すために、ダウンライトと並んで非常に効果的な照明手法が「間接照明」です。間接照明とは、光源が直接目に入らないように、光を一度、壁や天井、床に当てて、その反射した柔らかい光で空間を照らす方法です。この間接照明と、機能的なダウンライトを巧みに組み合わせることで、ホテルのスイートルームのような、安らぎと高級感に満ちた癒しの空間をデザインすることができます。ダウンライトが、必要な場所を的確に照らす「直接照明」であるのに対し、間接照明は、空間全体を均一で柔らかな光で満たすのが得意です。光源が見えないため、眩しさがなく、非常にリラックスした雰囲気を作り出します。壁や天井の素材感を優しく浮かび上がらせ、空間に豊かな表情と奥行きを与えてくれるのも、間接照明ならではの魅力です。リフォームで間接照明を取り入れる代表的な手法が、「コーブ照明」と「コーニス照明」です。コーブ照明は、天井を壁際で一段折り上げて、その内側にライン状のLED照明などを隠し、天井面を照らす方法です。光が天井全体に広がり、部屋が実際よりも高く、広く感じられます。一方、コーニス照明は、壁の上部や下部に造作した垂れ壁や幕板の裏に光源を隠し、壁面を照らす方法です。光が壁を伝って美しいグラデーションを描き、落ち着いた雰囲気を演出します。テレビボードの下や、ベッドのヘッドボードの裏に光源を仕込むのも、効果的な間接照明の手法です。この間接照明を、空間全体のベースとなるアンビエントな光(環境光)として使い、生活に必要な機能的な光をダウンライトで補う、というのが、理想的な照明計画の考え方です。例えば、リビングであれば、まずコーブ照明で部屋全体を柔らかく照らし、ソファで本を読む手元や、ダイニングテーブルの上には、集光性の高いダウンライトで必要な明るさをプラスします。そして、壁に飾ったアートは、角度が変えられるユニバーサルダウンライトでスポット的に照らす。このように、異なる役割を持つ光を重ね合わせる(レイヤリングする)ことで、光環境は非常に豊かになります。調光機能を使って、シーンに合わせてそれぞれの光の明るさをコントロールすれば、その日の気分に合わせた、最適な癒しの空間をいつでも創り出すことができるのです。
ダウンライトと間接照明で創る癒しの空間