リフォーム会社に依頼する本格的な工事も良いけれど、自分たちの手で少しずつ住まいを育てていく「DIY」は、団地暮らしをより豊かで楽しいものにしてくれる、素晴らしいスパイスです。特に団地は、そのシンプルな構造ゆえに、DIYで手を加えやすいという側面も持っています。専門的な知識や高価な工具がなくても、アイデアと少しの労力で、画一的な空間を自分たちらしい、愛着の湧く場所へと変えていくことができます。DIYで気軽に挑戦できる範囲は、意外とたくさんあります。まず、最も手軽で効果が大きいのが「壁」のDIYです。既存のビニールクロスの上から直接塗れるペンキを使えば、壁の一面だけを好きな色に塗り替える「アクセントウォール」を、一日で完成させることができます。部屋の印象が劇的に変わり、大きな満足感が得られるはずです。また、裏面がシール状になった「剥がせる壁紙」を使えば、賃貸の団地でも、壁を傷つけることなく、大胆な柄や質感のデザインを取り入れることが可能です。次に挑戦しやすいのが「床」のDIYです。既存の床の上から、置くだけ、あるいははめ込むだけで施工できるフロアタイルやフローリング材を使えば、古い床を簡単に美しい木目調の床へと変身させることができます。カッターナイフで加工できるものも多く、パズル感覚で楽しめます。畳の和室も、上からウッドカーペットを敷くだけで、あっという間に洋室の雰囲気に早変わりします。収納が少ないという団地の悩みを解決するのも、DIYの得意分野です。ホームセンターで手に入るツーバイフォー材と、突っ張り式のパーツ(ディアウォールやラブリコなど)を組み合わせれば、壁に穴を開けることなく、柱を立てて、そこに棚板を取り付けたり、有孔ボードを設置したりして、大容量の壁面収納を作ることができます。これは、賃貸団地のDIYにおいて、まさに救世主とも言えるアイテムです。もちろん、DIYを行う際には、集合住宅である団地ならではの配慮も必要です。電動工具を使う際の騒音や、塗料の匂いなどが、近隣の迷惑にならないように、作業する時間帯を選んだり、窓を開けて換気したりといったマナーを守ることが大切です。小さなことからで構いません。まずは、トイレの壁紙を張り替えてみる、小さな棚を作ってみる。その一歩が、あなたの団地暮らしを、もっと創造的で、もっと愛おしいものへと変えていくはずです。