自分の手で部屋を生まれ変わらせる壁のDIYは、大きな達成感を得られる素晴らしい体験です。しかし、初めての挑戦では、思わぬ落とし穴にはまってしまい、「こんなはずではなかった」と後悔するケースも少なくありません。美しい仕上がりを実現し、DIYを成功させるためには、よくある失敗例とその原因を知り、それを防ぐための重要なコツを押さえておくことが不可欠です。壁紙のDIYで最も多い失敗が、貼り付けた壁紙に「シワや空気が入ってしまう」ことです。これは、壁紙を貼る際に、中心から外側に向かって空気を抜く作業が不十分な場合に起こります。焦らず、専用のヘラ(スムーサー)を使って、一方向に優しく、しかし確実に空気を押し出していくことが重要です。また、二枚目以降の壁紙の「継ぎ目が目立ってしまう」という失敗もよくあります。これは、壁紙同士をぴったりと突き合わせて貼ろうとすることで起こりがちです。プロは、一枚目の壁紙に二枚目を数センチ重ねて貼り、その重なった中央部分をカッターで一直線に切り落とす「重ね切り(ジョイントカット)」という技術を使います。これにより、隙間なく、かつ継ぎ目がほとんど目立たない美しい仕上がりが実現できます。塗装のDIYでよくある失敗は、「塗りムラ」です。早く終わらせようとして、一度にたくさんのペンキをローラーにつけて厚塗りしてしまうと、液だれやムラの原因になります。ペンキは、トレイの上でローラーによく馴染ませ、余分な塗料をしっかりと落としてから、薄く均一に塗るのが基本です。そして、完全に乾いてから二度塗りすることで、プロのような美しい塗装面に仕上がります。また、塗装において仕上がりの美しさを左右するのが、養生で使った「マスキングテープを剥がすタイミング」です。ペンキが完全に乾ききってから剥がすと、塗膜ごとパリパリと剥がれてしまい、境界線がガタガタになってしまうことがあります。ペンキがまだ少し生乾きの状態、いわゆる半乾きのタイミングで、壁に対して斜め下方向にゆっくりと剥がすのが、美しい直線を生み出すためのプロのコツです。これらの失敗例と対策から分かるように、壁DIYの成功の秘訣は、派手なテクニックではなく、丁寧な下準備と、基本に忠実な作業を、焦らず着実に行うことにあるのです。
壁DIYで失敗しないための重要なコツ