自分好みの空間を自由に創り出せる魅力的な団地リフォームですが、一般的な戸建て住宅やマンションとは異なる、団地特有の「制約」が存在します。このルールを事前に理解しておかないと、計画していたリフォームができなかったり、後からトラブルに発展したりする可能性があります。後悔しないリフォームを実現するために、必ず押さえておくべき注意点を解説します。まず、最も重要なのが「管理規約」の確認です。団地は集合住宅であり、そこには住民全員が快適に暮らすためのルールが定められています。リフォームに関しても、どこまでが個人の所有物である「専有部分」で、どこからが共有の資産である「共用部分」なのかが厳密に区別されています。例えば、玄関ドアや窓のサッシ、バルコニーは、個人の住戸に付属していますが、実は「共用部分」にあたるため、個人が勝手に交換したり、色を塗り替えたりすることはできません。また、床材に関しても、階下への騒音を防止するために、カーペットやクッションフロアなど、特定の遮音性能を持つ素材しか使用できないといった規定(防音規約)が設けられていることが多くあります。リフォームを計画する最初の段階で、必ず管理組合に問い合わせ、リフォームに関する規約を詳細に確認することが不可欠です。次に、建物の「構造」による制約です。古い団地に多いのが「壁式構造」という、柱や梁ではなく、壁全体で建物を支える構造です。この場合、室内の壁の一部が建物を支える重要な「構造壁(耐力壁)」となっているため、たとえ室内の壁であっても、自由に取り払うことができません。どこが構造壁なのかは、図面を見ても一般の人には判断が難しいため、必ず専門家に見てもらう必要があります。この構造壁を無視してリフォームを進めてしまうと、建物の耐震性を著しく損なうことになり、非常に危険です。水回りの移動に関する制約もあります。キッチンや浴室、トイレなどの水回りは、上下階の住戸と繋がっている配管(パイプスペース)の位置によって、移動できる範囲が限られます。特に、床下のスペースが少ない団地では、大幅な移動は困難なケースがほとんどです。これらの制約は、一見すると不自由に感じるかもしれません。
団地リフォームで必ず知っておくべき制約