築十五年になる我が家のリビングの壁紙は、長年の生活で薄汚れ、所々には子どもがつけた小さな傷も目立っていました。いつかは綺麗にしたいと思いつつも、業者に頼む費用を考えると、なかなか踏み出せずにいました。そんな時、インターネットで「壁紙 DIY」というキーワードを見つけ、自分でもできるかもしれない、という淡い期待を抱いたのが、すべての始まりでした。まずは情報収集から始め、DIY初心者の私でも扱えそうだということで、裏面に糊がすでについている「糊付き壁紙」を選ぶことにしました。デザインは、部屋が明るく見えるように、少し凹凸のある織物調のオフホワイトに決めました。壁の一面だけは、アクセントとして、少し深みのあるブルーグレーの壁紙を張ることに。道具は、壁紙とカッター、ヘラ、ローラーなどがセットになった「初心者セット」をインターネットで購入しました。週末、いよいよ作業開始です。最初の工程は、家具を部屋の中央に寄せ、床や窓枠をマスカーで保護する養生作業でした。この地道な作業が、想像以上に時間と手間がかかりましたが、仕上がりのためにと自分に言い聞かせ、丁寧に行いました。そして、いよいよ一枚目の壁紙を張る瞬間。緊張しながら、天井からゆっくりと壁紙を垂らしていきます。思った以上に壁紙は重く、一人で支えながらまっすぐに貼るのは至難の業でした。妻に下を持ってもらい、二人で息を合わせながら、ヘラで空気を抜いていきます。それでも、あちこちに小さな空気の泡が残り、何度も貼り直しました。一枚目を張り終えた頃には、二人とも汗だくで、正直なところ「業者に頼めばよかった」と少しだけ後悔しました。しかし、二枚、三枚と作業を進めるうちに、少しずつコツが分かってきました。空気を抜くヘラの角度、継ぎ目を重ね切りするカッターの力加減。夫婦で「もっと右!」「そこ、空気入ってる!」と声を掛け合いながら作業を進めるのは、まるで文化祭の準備のようで、不思議な一体感が生まれました。アクセントウォールとなるブルーグレーの壁紙を張り終えた時には、部屋の雰囲気が一変し、疲れも吹き飛ぶほどの感動がありました。
壁紙の張り替えに挑戦した話