私が築三十年の中古住宅を購入し、全面的なリノベーションを決意した最大の理由は、実家で経験した「冬の廊下の殺人的な寒さ」を解消したかったからです。特に幼い子供がいる我が家にとって、リビングは暖かくても一歩出れば氷のような空気という環境は、ヒートショックのリスクも含めて避けたい課題でした。そこで、リフォームの目玉として導入したのが全館空調システムです。工事前、古い壁を剥がした際に設計士さんと相談し、天井の懐を少し深くしてダクトを通すスペースを確保してもらいました。全館空調のリフォームで最も驚いたのは、工事そのものよりも、完成した後の「空気の質」の変化でした。以前の家では、冬の朝は布団から出るのが苦痛でしたが、全館空調を導入してからは、寝室も廊下もリビングも、常に二十二度前後の一定の室温に保たれています。朝起きた瞬間から家全体がほんのりと温かく、子供たちがパジャマのまま家中を走り回っている姿を見て、この投資は正解だったと確信しました。また、視覚的なメリットも想像以上でした。各部屋の壁に鎮座していたエアコンの室内機が消え、天井に目立たない吹き出し口があるだけなので、インテリアが非常にスッキリとまとまります。リフォーム当初は、全館空調にかかる電気代が心配でしたが、家全体の断熱性能を最高等級まで高めたおかげで、これまでの各部屋で個別にエアコンと床暖房、石油ファンヒーターを併用していた頃と比べても、光熱費はそれほど変わらないか、むしろ安いくらいに収まっています。フィルターの掃除も、一箇所にあるメインの機械を月一回ケアするだけで済むため、脚立に乗って各部屋のエアコンを回る手間に比べれば格段に楽になりました。何より、真夏の帰宅時でも玄関を開けた瞬間に爽やかな涼しさに包まれる生活は、一度味わうともう元には戻れません。古い家を壊して建て直すのではなく、リフォームによって最新の全館空調という魔法をかけることで、私たちの家は、三十年前の趣を残しながらも、未来の快適さを備えた最高の居場所に生まれ変わりました。
築三十年の我が家が全館空調リフォームで生まれ変わった日